中東で初開催!ドバイ万博とは
2020年ドバイ国際博覧会(通称・ドバイ万博)は、中東やアフリカ地域ではじめて開催された万博です。
日本館について深く理解するためにも、まずはドバイ万博の概要を振り返っていきましょう。
コロナ禍により1年延期
ドバイ万博、1年延期が暫定承認 2021年10月1日開幕へ https://t.co/jjRRsFHY0K pic.twitter.com/OCrxiPhYmy
— TRAICY(トライシー) (@traicycom) April 21, 2020
ドバイ万博は、2021年10月1日から2022年3月31日までの182日間、UAE(アラブ首長国連邦)のドバイで開催されました。実は、2020年10月20日から2021年4月1日に開催予定だったドバイ万博ですが、コロナ禍によって1年延期した上で、ようやく開催できました。
入場者数は約2,300万人

ドバイ万博の想定入場者数は約2,500万人でしたが、実際は2,300万人が来場する結果に。一見すると、想定より少なく残念に思われがちな数字です。
しかし、コロナ禍が続いていたにもかかわらず、前回のイタリア万博の2,100万人を上回っています。そう考えると、非常に大成功した万博といえるでしょう。
なお、来場者には新型コロナウイルス感染症の陰性証明や、ワクチン接種証明の提示が求められました。感染対策を万全にしたことで、来場者も安心してドバイ万博を楽しめたことでしょう。
ドバイ万博における日本館の見どころ

大盛況に終わったドバイ万博では、日本館も非常に人気でした。その人気ぶりは、経済産業省が公開している紹介動画からもうかがい知れます。
日本館のテーマは、「アイデアの出会い(Where ideas meet)」。どんなアイデアと出会えたのか、ドバイ万博における日本館の見どころを4つ紹介します。
建築は日本と中東のつながりを表現

ドバイ万博の日本館には、アラベスクと麻の葉文様を組み合わせたデザインが施され、日本と中東のつながりを表現しています。また、このデザインは折り紙を表現した立体格子でもあり、日よけにもなっています。
日本館前に設置された水場は、水鏡として建物の美しさをより際立たせていました。夜には赤くライトアップされ、より幻想的な雰囲気を演出しています。

水場はさらに風を冷やす環境装置となり、サスティナブル(持続可能)な建築にもなっているのです。
展示は伝統と最新技術の合わせ技
日本館最大の魅力ともいうべき展示は、伝統と最新技術の融合。見どころ満載の展示について、3つに分けて紹介します。
没入感の高い展示空間

日本館では、空間そのものも展示のひとつといわんばかりに特徴的な演出がなされました。極微細なミストと映像の組み合わせにより、さわやかで色鮮やかな、立体感のある空間が生み出されたのです。

とくに、日本の四季や着物の柄をイメージさせる映像では、あでやかで荘厳な雰囲気を全身で体感できます。
また、来場者に渡されるスマホでは、それぞれの行動履歴をデータ化。データをもとに作られたアバターは、退館時の演出に使用されました。その場に集まった方によって演出が異なるため、来場者は驚きと感動に包まれたことでしょう。
展示シーンは6つ

ドバイ万博の日本館で展示されたのは、次の6シーンです。
1.日本との出会い

2.出会いの歴史としての文化

3.現代日本のテクノロジー

4.私たちの今と課題

5.アイデアの出会い

6.いのち輝く未来社会のデザイン(Expo 2025 Osaka, Kansai, Japan)

この中でも、とくに人気の高い展示がシーン3「現代日本のテクノロジー」で公開されたミニチュアです。日本の伝統文化である「見立て」を活かし、海や宇宙などさまざまな場面がミニチュア化されました。
たとえば、はやぶさ2の展示「宇宙を手玉に取る」では、次のようなミニチュアが公開されています。

小惑星をお手玉に見立てた展示は、とくに日本人にとっては心に深く感じるものがあるのではないでしょうか。
また、津波警報システムの展示「倒れても大丈夫」では、ドミノを波に見立てています。

ドミノ倒しが途中で止まっており、「津波が到達する前に逃げられる」ことを表現しているのです。
このように、日本館のミニチュア展示では、さまざまな発想(アイデア)の転換を楽しめる内容となっています。
バーチャル日本館で場所を問わず楽しめる

1年延期したとはいえ、ドバイ万博の開催時もコロナ禍の真っただ中でした。
そこで日本は、国内はもちろん世界各国からも楽しめるように、バーチャル日本館を開設。コンセプトムービーや、展示制作にまつわるストーリーなどの紹介を通じて、日本館の魅力をアピールしていました。

また、バーチャル日本館内には「循環JUNKAN- Where ideas meet-」というオンライン・プラットフォームを設置。世界の課題に対し、どのように解決していくべきかアイデアを共有する場所として、開催期間中は非常ににぎわったものです。
残念ながら、バーチャル日本館は現在、閲覧不可となっています。しかし、「循環」に寄せられた1万6,000件以上もの課題とアイデアは、2025年の大阪・関西万博へ引き継がれる予定です。
レストランにはスシローが初出店

伝統的な日本食のひとつとして有名な寿司は、ドバイの方々にとっても興味深い料理。実際、事前のインターネットリサーチでは、「好きな/食べたい日本食」で断トツ1位になっています。

そこで、日本館内のレストランには、スシローが初出店しました。メニューにイスラム教徒が食べられる食材(ハラル)を使うことで、多くの来場者が寿司を堪能できたといいます。
アテンダントの服装も魅力的

ドバイ万博のアテンダント(接客係)は、一般公募から決定されました。アテンダントについて特筆すべきは、そのユニフォームデザインです。
公式ユニフォームは、ドバイ万博のテーマである「つながり」を表現。星のようなマークがちりばめられ、それぞれつながっています。光が当たると模様が浮き上がる仕様も、非常に独特です。
夜のドバイ万博では、日本館アテンダントのユニフォームが、とくに目立ったことでしょう。
ドバイ万博における日本館の評判は?
ドバイ万博全体はコロナ禍にもかかわらず、盛況の末に閉幕しました。では、見どころ満載だった日本館の評判は、どのようなものだったのでしょうか。
最後に、ドバイ万博における日本館の評判を3つ紹介します。
入場者数は非公開ながらも大盛況

最も気になる入場者数ですが、具体的な数字は残念ながら公開されていません。しかし、ツアーに参加できる人数や回数から、ある程度の予測はできます。
- 日本館の開館時間は10~22時(12時間)
- 館内ツアーは1時間に3回
- ツアー1回に30人ほど参加できる
以上を踏まえると、1日の入場者数は推計1,200~1,300人。ドバイ万博が開催された182日間では、約22万人が来場したのではないかと推測されます。
なお、日本館への入場には待ち時間が生じていたようです。とくに、参加国を称えるナショナルデーに日本の番が来た日には、入場まで2時間待ちとなったケースもありました。スシローにいたっては3時間待ち、休日は7時間待ちという大盛況ぶりだったようです。
国内外ともに大人気
ドバイ万博の日本館は、SNSでも人気でした。たとえば、Twitterでは次のような反応が見られています。
ドバイ万博行ってきた。
日本館の建築のデザインクオリティは高く、ドバイでここまで綺麗にやれてる事に尊敬する。 pic.twitter.com/9VBqLpTcSn— かもん (@ryjka) October 17, 2021
実際に日本館を目にして、その美しさに感動したという言葉が聞かれました。
面白そう 開幕して大人気みたいだね!
ドバイ万博「日本館」初公開、日本の伝統・技術をCGで紹介…スシローも出店 : 国際 : ニュース : 読売新聞オンライン https://t.co/sZdRuAcdDJ
— Aya (@iroha27624835) October 1, 2021
また、現地に行けずとも、画面越しにその面白さを感じた方も少なくありません。
さらに、海外の反応動画では、日本館に圧倒された来場者の様子が映し出されています。
「余分なものがなく、とにかく面白すぎた」「スタッフ(アテンダント)の対応も丁寧で素晴らしかった」とのことです。
展示内容はもちろん、運営面も評価された日本館。外国人からの評判も非常によく、国内外ともに大人気だったといえるでしょう。
展示デザイン部門で金賞を受賞
昨夜、博覧会国際事務局(BIE)によるセレモニーが行われ、ドバイ万博の参加パビリオンの中から、日本館が「展示部門」で金賞を受賞しました。今まで日本館を応援くださった皆様、ありがとうございました。https://t.co/UjlgFhEe6u pic.twitter.com/A25Jj3hAOS
— Japan at Expo 2020 Dubai / 日本館 (@expo2020_jp) March 31, 2022
ドバイ万博における日本館のよい評判は、SNSだけにとどまりません。なんと、大規模パビリオンの展示デザイン部門で、金賞を受賞したのです。これは2015年のミラノ万博に続く受賞であり、日本として史上初の快挙となりました。
クオリティの高い展示内容はもちろん、入館を完全予約制にして感染対策を徹底したなどの運営面も評価されたとのことです。2025年の大阪・関西万博でも、また新しいイマジネーションに富んだ日本館が大いに期待できるでしょう。
ドバイ万博の日本館は多くの方を魅了した!